でぱーとからでてすぐのところに、ぴんくいろのくるまがとまってた。
「外は暑いね。 ちょっと、アイス食べながら帰ろっか?」
「わぁい」
ぴんくいろはあいすやさんで、いろんなあいすのえがあった。
しろいのくろいのきいろいの、わたしはくろいのかってもらった。
「美味しいね」
「おいしいね」
くろいあいすはちょこあじだった、おねいさんのしろいあいすはなにあじだろう。
「ちょっと食べる?」
「うん」
じっとみてたらおねいさん、わたしにしろいのたべさせてくれた。
あんまりあじはしないけど、ふんわりしてておいしかった。
「美味しい?」
「うん、おいしい」
にこってしたらおねいさんも、にこってしてくれるからうれしい。
ひとりぼっちでたべるのよりも、いっぱいいっぱいおいしくなる。
「あれ――」
あいすたべながらのかえりみち、おててつないであるいていたら、
たゆんたゆんするおっぱいが、きゅうにぴたっととまってしまった。
「よぉ……久々じゃん」
「ひ、久しぶり……」
きゅうにでてきたおとこのひとと、おしゃべりはじめるおねいさん。
まえにどっかでみたことあるけど、あんまりよくはおぼえてない。
「最近電話もして来ないけど……何なの?」
「いや、それは色々忙しくて……」
「忙しい? 何で?」
「だってほら……」
ちらっとみてくるおねいさん、こまったかおをうかべてた。
そしたらなんだかおとこのひとも、ぎろっとわたしをにらんできた。
「……何? 俺より他人のガキのが大事なの?」
「いや、そういうんじゃなくて……」
なんのはなしかわかんないけど、なんだかひどくかなしいきぶん。
なんだかおっぱいしぼんでみえて、あいすもぜんぜんおいしくないの。
「ってかさ、俺って何? お前の彼氏だよね? もう何ヶ月会ってないよ?」
「だから……しょうがないでしょ、解ってよ」
「こんなガキ何処でもいいから預けちまえばいいじゃんよ!?」
「そういう事は言わないで!」
ひどくこまってるおねいさん、しろいあいすもどんどんとけてく。
ぽたぽたじめんにおちていくのが、おねいさんのなみだにみえた。
「ってか何? 母性に目覚めちゃったとか? そんな高尚な女じゃねぇだろお前?」
「……っ! いいじゃん別にどうだって!」
「どうでもよくねえよ! 現に俺、どれだけ待たされてるんだよ!?」
「だからもう……解ってよ!」
「わかんねぇよ!!!」
だんだんこえがおおきくなって、みぶりてぶりでがなりあうふたり。
どうにかおねいさんをたすけたいけど、おとなのはなしはわかんない。
なにもできないのがくやしくて、きょろきょろあたりをみわたしてたら、
とけたあいすがとびちったのか、おとこのひとにぴちょっとついてた。
「あ〜、おにいさんのおまたに、しろいのくっついてる!」
「……え?」
「……は?」
「おにいさんのおまたに、しろいのくっついてる〜!」
そしたらおとこのひと、たんぽんのひのおねいさんみたいにまわりをきょろきょろみわたしてから、おまたをかくしてどっかににげていっちゃった。
よくわかんないけど、おとなのひとはおまたにしろいのついてることが、とってもはずかしいことみたいだ。
「――だいじょうぶ、おねいさん?」
おとこのひとがどっかいっちゃったあとは、けんかしてげんきないおねいさんがしんぱいだった。
「大丈夫、ありがと。 それより、ごめんね?」
「ううん」
だいじょうぶっていってくれたけど、おっぱいはまだしぼんだままだ。
「あいす、ぜんぶとけちゃったね」
「それはいいのよ、アイスなんて、また買えるしさ」
「でも、おいしいのきえたらやっぱりかなしいよ」
なんだかわたしがそういったら、おねいさんはふふっとわらった。
「美味しいのは消えちゃうけど、嬉しいのとか楽しいのは消えないじゃない、今の私にはそれがあるから充分だよ」
いってるいみはよくわかんなかったけど、おねいさんのえがおにつられてわたしもなんだかわらっちゃった。
おっぱいはまだしぼんだままだったけど、わらってくれたから、それでいいのかな。
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