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一つ前へ

 

「いや」


「ねえねえ、ちょっとおねいさんの膝の上に、座ってくれるかな?」
「うん!」

 ぱそこんのまえのおねいさんが、ぎいっといすをかいてんさせては、わたしをひょいともちあげる。
 きのうもきょうもぱそこんばっかだったんだけれど、やっとわたしにかまってくれた、うれしいな。

「これがぱそこんなんだ、めがちかちかする!」
「おめめが元気な証拠だね」
 
 ちかちかしててめはいたいけど、おねいさんざぶとんののかんしょくがここちいい。
 そのままおっぱいにおもいっきりよりかかる、せかいでいちばんのとくとうせきだ。

「今日は、一緒にインターネットを見て欲しいの」
「いんたーねっと?」

 そういうとおねいさん、みぎてでへんなまるいのもってそれをくりくりうごかした。
 ときどきかちかちおとたてるけど、いったいなにをしてるのかな、わかんなかった。

「これ。 このサイトをちょっと見て欲しいの?」
「さいと?」

 おねいさんのゆびさすほうをみてみたけれど、むずかしいじばっかでよめなかった。
 ……りの…い………を……、……する……。 だめだ、ぜんぜんわかんない。

「おねいさん、これなんてかいてあるの?」
「『身寄りの無い子供達を保護、教育する施設』って書いてあるの」

 きいてもぜんぜんわかんなかった。

「これが、どおしたの?」
「ん……とりあえず、色々写真あるから見てみて……ほら、皆楽しそうじゃない? 建物も綺麗だし……」
「ん……わかんない」
「わかんないか……」

 そういうとおねいさんは、いっこだけためいきついてわたしをきゅっとだきよせた。
 どうしたんだろとかおをみたら、なんだかちょっとこわいかんじでわたしをみてる。

「あのね……もしかしたら、この写真の場所が、あなたの新しいお家になるかもしれないの」
「……? ひっこしするのおねいさん?」
「そうじゃなくて…………」
「?」

 なんだかきょうもおねいさんは、きのうにつづいてちょっぴりおかしい。
 そわそわしてておちつかなくて、なんだかわたしもふあんになる。

「おねいさんはね、この場所には行けないの」
「なんで?」
「おねいさんより、もっと優しくて、もっと賢い大人の人が一杯居るから……だから、今よりきっと、いっぱい楽しい事があって、いっぱい幸せになれるよ。 お友達もいっぱい出来るし……」
「…………」

 おねいさんのいってることはよくわかんなかった、だけれど、わたしはなんだかかなしいきもちでいっぱいになった。 
 
(――おねいさんも、わたしをすてるの……?)

 かなしいきもちがいっぱいになって、あたまのなかがぐちゃぐちゃになって、なみだがぽろぽろあふれてきた。
 からだもなんだかふるえだして、かぜひいてないのにはなみずでてきて、そこからさきはわけわからなくなった。

 

 


「……いやぁーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!」  

 

進む

 

 


  

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