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一つ前へ

そらがないたひ

 

 あめがざーざー、あめがざーざー。
 きょおはさみしくおるすばん。

 おねいさんいないとこわいけど、わたしはつよいからへいきだよ。

 そらがごろごろ、ごきげんななめ。
 きょおはひとりでおるすばん。

 ときどきぴかっとひかるけれど、わたしはつよいからなかないよ。

 あめがしとしと、つかれもよう。
 きょおはまだまだおるすばん。

 こわいのどっかいっちゃったけど、まだまだおねいさんかえってこない。

 あめがぽつぽつ、なきやんできた。
 それでもまだまだおるすばん。

 かえってこないおねいさんを、びっくりさせよとひらめいちゃった!

 


      ・
      ・
      ・
 


「――ただいま」
「くすくすくす」
「……?」
「くすくすくす」

 やっとかえってきたおねいさん。
 なにかがへんなのきづいたみたい。

「……どこにいるの?」
「くすくすくす」

 きょろきょろみまわすおねいさん。
 わたしがいないのきづいたみたい。

「ねえちょっと、返事して。 どこ?」
「くすくすくす」

 ようふくだんすにかくれたわたし。
 おねいさんぜんぜんきがつかないの。

「ねえ……! もしかして一人で外、出ちゃったの……?」
「くすくすくす」

 あたふたうろうろおねいさん。
 そろそろびっくりさせてやろっと!

「警察に電話しないと……いや、まだ近くかもしれないし近所を探してから……」
「ばあ!」
「きゃあ!」

 まんをじしてのとうじょうに、ひめいをあげるおねいさん。
 どっきりさくせんだいせいこう! だけどそれではおわらなかった。

「……もうっ、そんな所に隠れてるなんて! ……本気で心配したんだよ!?」

 おおごえあげるおねいさんに、わたしのほうがびっくりだった。
 だいすきなおっぱいふたつに、いまはなんだかたべられちゃいそう。

「お願いだから、おねいさんをびっくりさせる事はしないで? ね?」

 そんなにびっくりしちゃうものかな、きゅうにでてきておどろかすのって。
 はじめてのおねいさんのおこりがお、こわくてこわくてしかたなかった。
 たのしんでくれるかとおもったのに、よろこんでくれるかとおもったのに。
 あめはちゃんとなきやんだのに、こんどはわたしがなきたくなった。
 

 

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